やりたいことは職業名じゃない

突然ですが、あなたに質問です。
「あなたが本当にやりたいことって何ですか?」
こう聞かれて、すっと答えられる人って、どれくらいいるんですかね。
特に僕たちHSPは、就職や転職。あるいはこれからの人生設計を考えるとき、この質問をされると「うっ」と身構えて、フリーズしてしまいがちです。
「将来どうなりたいの?」「何がしたいの?」って聞かれても、「いや、別にやりたいことなんてないんだけどな…」って、心の中で焦ったり、自分を責めてしまったり。
でもね、最近思うんです。
いつの間にか世間では、「やりたいこと」を語るときに、「みんなが知っている職業名」「活動名」で答えることが前提になっていませんか?
「公務員になりたい」「税理士になりたい」「医者になりたい」。
こういった、社会や周りの人に説明できて、数秒で「なるほどね」って理解してもらえる「名刺に書ける名前」。
でも、本当にやりたいことって、そんなシンプルなものなんでしょうか?
ここで、少し変な話をしますね。
みなさん、お茶買う時ってなんのお茶を買いますか?
僕は「生茶」を買うことが多いんですけど、すごく好きなんです。
何がいいかっていうと、パッケージがとにかく可愛い。あとはHSP からかもしれませんが文字のフォントが落ち着くんですよね。あとはお茶の色もなんか優しい感じ。
逆に濃いお茶、爽健美茶みたいに主張してくるお茶がなんとなくちょっと苦手で
これって、人生の夢とか「やりたいこと」の大それた話ではないですよね。
でも、私にとって「本当にやりたいこと」を選ぶ基準って、こういうものにすごく近い気がするんです。
「こっちの方が、なんか心地いいな」
「こっちの方が、自分にしっくりくるな」

それをやっていると、自分がもっと自分らしくいられる感覚。自分のペースを取り戻せるような感覚。
「やりたいこと」って、いきなり「魂の使命」みたいな大きなものである必要はなくて、その手前の「心地よさ」の選択から始まっているんだと思うんです。
だから、あなたも実は、もうすでに「やりたいこと」をちゃんと選んで、日々生きているんですよ。
今日は、そんな「やりたいことなんて分からないよ」と悩んでいる繊細なあなたに向けて、少しお話しさせてください。

なぜ、僕たちは「職業名」で探してしまうのか?
そもそも、どうして僕たちは「やりたいこと」が見つからなくて悩んでしまうのでしょうか。
それは、考えるタイミングに原因があります。
私たちは、就職、転職、相談といった「社会から選ばされるタイミング」で、初めて「やりたいことは?」と問われます。
つまり、「社会から『職業名』というフォーマットで答えてください」と求められてから、ようやく考え始めるんです。
でも、やったこともなければ、現場の中身、業務内容も知らない仕事を、いきなり「やりたい!」と思えるわけがないですよね。
まだ行ったこともない国を並べられて、「どの国で一生暮らしたいですか?」って言われているようなものです。
だからこそ、子供たちが憧れる職業は、目にする機会が多い「野球選手」や「警察官」になりますし、大人の僕たちも「有名企業に入りたい」「安定できる仕事をしたい」という、社会が用意した「正解」についつい行ってしまうんです。

    でも、その職業名そのものが、あなたの心からの「やりたいこと」と結びついているケースは、実はほとんどありません。
    「やりたい職業がないこと」と、「やりたいことがないこと」は、まったく別物です。
    ここを、まずは切り離して考えてみませんか。
    例えば僕自身、こうして発信活動をしていますが、「有名になりたい」なんて思ったことは一度もありません。
    来月から農業も始めますが、「プロの農家になりたい」わけでもないんです。
    じゃあ、僕にはやりたいことがないのかというと、そんなことはありません。やりたいことは、山ほどあります。
    「田舎でお米、さつまいも、野菜を育てながら自分のペースで生きていきたい」
    「毎日朝4時に起きて自然の中で本をゆっくりと読みたい」
    「自分の想いに共感してくれる、大切な人たちと出会いたい」
    これらはすべて「職業名」ではないですよね。でも、僕にとって本当にやりたいことなんです。

    「行為」と「感覚」から紡ぎ出す
    僕にとっての「やりたいこと」をさらに分解していくと、
    「何かを深く知ったり、気づいたりして、自分自身が驚くこと」
    「それを言葉にして、整理して、体系的にまとめること」
    「それを伝えることで、誰かの心が軽くなったり、誰かが納得してくれること」
    この一連の流れが、たまらなく好きなんです。
    このプロセスは、SNSやブログじゃなくてもできます。どこにいようが、どんな生活をしていようが実現できる「僕の行為」なんです。
    子供の頃を思い出すと、自然や公園で、仲の良い友達と深い話や、相談事を聞いている時間が大好きでした。根本にある「やりたい行為」は、ずっと昔から変わっていません。たまたま今は、ブログという「箱」を使っているだけなんです。
    農業だってそうです。
    「農家になるぞ」と思って始めるわけではありません。
    その前に、「ずっとこのままノルマ、人から評価され続ける、上下関係や毎日人に気を遣いながら生き続ける」ということに強い違和感があったんです。
    「外に出て、太陽の光、風を感じ、自然の恵みを感じながら身体を動かして、命や食材に感謝しながら生きたい」という、切実な身体の欲求が先にありました。その感覚を満たす媒体として、たまたま農業という選択肢がフィットしただけなんです。

    このように、僕たちの「本当にやりたいこと」は、
    「外で働きたいのか、身体を動かしたいのか、じっくり自分のペースで生きたいのか」という【身体の感覚】から始まります。
    それを先に満たしてあげて、結果として、後から「職業」という名前がついてくるイメージです。
    これを逆にして、先に「社会が用意した名前」としての職業名を持ってきてしまうと、せっかくのあなたの繊細な感覚がごそっと丸め込まれて、呼吸がしにくくなります。
    野球選手であっても、全員が同じ理由で野球をしているわけではありません。「有名になりたい」「技術を極めたい」「数字を追いかけたい」など、奥にある感覚は一人ひとり全く違います。
    だから、職業名という「あらすぎるレンズ」で自分を見つめるのは、もうやめにしましょう。

      HSPさんに最も必要な「ノイズを減らす方法」
      「じゃあ、どうやってその感覚をキャッチすればいいの?」と思いますよね。
      そこで一番大切になってくるのが、「『やりたい』という心の声が聞こえる身体に戻ること」です。
      「やりたい」という気持ちは、とても繊細で、静かで、落ち着きのある信号です。
      日々の生活に余裕がなかったり、常にスマホから流れる大量の情報を浴びていたり、神経が休まらない状態が続いていると、この落ち着いた信号は絶対に聞こえてきません。
      身体が「サバイバルモード」になっていて、「まずは休ませてくれ!」と叫んでいるからです。そんな状態で「やりたいこと」なんて考えられるわけがありません。
      だから、自分探しのためにどこか遠くへ行く必要はありません。
      まずは、日々の生活を整えて、神経系を休めることから始めましょう。
      毎日、お風呂にゆっくり浸かる
      寝る3時間前には食事を終える
      朝の光を浴びて、自然の中をゆっくり散歩する

      スマホを完全にオフにして、何も持たずにぼーっとする時間を作る
      これらは、単に健康になるためだけではなく、「自分の中のノイズを下げ、感覚のセンサーを鋭くするため」のプロセスです。
      心が疲れているときは、ただ疲れているだけ。「やりたいことがない」のではなくて、それを感じ取る心の余裕がなくなっているだけなんです。まずは、自分を思いっきり休ませてあげてください。

        小さく試して、心の反応を観察する
        そして、「これがやりたいことかも…」という静かな感覚が見つかったら、それを【小さく試すこと】です。
        ここでも、焦りは禁物です。
        「これがやりたいことかもしれない!」と思ったからといって、いきなり仕事を辞めたり、起業したり、引っ越したりする必要は全くありません。
        それは「箱(活動名)」をいきなり変えようとする、ハードなやり方です。
        もっと小さく、あなたの心と身体がどう反応するかを実験してみましょう。
        「自分ですべてを決められる働き方(起業)をしてみたい」と思うなら、自分の1日の中で、誰にも邪魔されずにマイスペースで過ごせる時間を少しだけ作ってみる。
        起床から夕方まで自分で決めて動いてみる。
        「農業に興味がある」なら、自然の多い場所(田んぼ)へ行ってみたり、土を触ってみる。登山をしてみる。
        「発信をしてみたい」なら、誰に見せるでもなく、まずは自分の心の内側をノートに書き出してみる。
        「〇〇になりたい」ではなく、
        「誰にも邪魔されず、自分の内側にあるものを言葉にしたい」
        「自分の心地よいリズムで生きていきたい」
        そのための小さなステップを踏んで、あなたの身体が「あ、なんか今、胸が軽くなったな」「心地いいな」と反応するかどうか、その身体の声を静かに観察してみてください。
        ここで大切なのは一旦スマホ、SNS、ニュースなどから距離を置いてみることです。
        すでに名前がついている「職業名」というのは、社会から「こういう仕事をしてね」と要請されているパッケージのようなものです。これからの時代、マニュアル化された職業はAIやロボットに代替されていくかもしれません。
        だからこそ、職業名になる前の、あなたにしかない「固有の感覚」「違和感」「心がそっと動く方向」『なんとなく』を、何よりも大切にしてほしいんです。

        あなたには、もうすでに「やりたいこと」がある
        「やりたいことがない」と悩む本当の辛さは、自分自身が人生の主役から外れていくような、不在感にあります。
        「自分の人生なのに、自分がどこにもいないような感覚」が、一番しんどいんですよね。
        でも、僕たちは誰かに頼まれたわけでもないのに、なんとなく惹かれてしまうもの、なぜか心地の良い感覚が、必ずあります。
        「合理的な理由はないけれど、なぜか惹かれるもの」の中に、本当のあなたが隠れています。

          最後に、これだけは信じてほしいことがあります。
          あなたは今、この文章を最後まで、誰に頼まれたわけでもないのに、じっくりと読んでくれていますよね。
          これを見たからといって、すぐに何かの資格が取れるわけでも、お金が稼げるわけでもありません。
          それでも、あなたがここまで聞いてくれたのは、あなたの心の中の何かが、「心地いいな」「そうだよね」と優しく反応したからです。
          その反応こそが、あなたの中に「やりたいこと」や「大切にしたい生き方」がしっかりと存在している、何よりの証拠です。
          あなたの「やりたいこと」に、世間一般の分かりやすい名前なんて、いりません。
          まずは今日から、自分の身体の感覚を少しだけ観察してみてください。
          最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
          あなたの心が、少しでも軽くなりますように。